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【Lea Boberg】SPRING / SUMMER 2025
Lea Bobergとの出逢いがキッカケで、ジャケットに袖を通す機会が増えました。洋服に心を動かされたのは久しぶりの体験。
彼女はデンマーク出身で、現在はロンドンを拠点にCasely Hayfordでデザイナーを務めながらも自身のブランドに取り組んでいる、二足の草鞋を履く気鋭のデザイナー。
これまであまり言語化できていなかった彼女のクロージングを、自分なりの解釈とともに振り返っていくためだけのブログです。ちゃんと商品の紹介もしてます。
Fabric:ENGLISH SYMPHONY / BATEMAN OGDEN
Col:Charcoal / White Stripe
Size:3 , 4
「ロイヤル・カレッジ・オブ・アートの卒業コレクションから継続して作っている」と語る彼女のシグネチャーモデルのブレザーは、ラペルからフロントラインにかけて断ち切りにしていることから「Raw Peak Lapel」ブレザーと名付けられた。これは「卒業コレクションの製作時に家具用の厚い生地を使用したために袋縫いに出来ず生まれたディテール」らしい。
これに加えてダブルの片比翼仕様という印象的なフロントと、よりシャープな見た目にするべく細腹からポケットのフラップがシームレスにつながっている構築的なディテールなど、足し引き算のバランスがお見事な一着。加えて、本人がとくに気をつかってパターンを引いたという袖口は、少しフレアさせたボタンレスの提案。「動きの中で最も手首が美しく見える」ことに拘って設計されたこのディテールにこそ、デンマーク生まれである彼女らしさを感じさせる。
「身体と衣服の間に空間を設けてドレープを作ることを大事にしている」
英国の伝統的なテーラリング技術を踏襲しながらも、チェストから裾にかけてはボリュームをとることで美しいドレープがでるよう設定されたパターンに、彼女の美学が宿る。ブレザーに不可欠な肩から袖の可動域を確保しながらも彼女が意図するシャープな見た目と、動きの中で生じる美しいドレープの共存。細かい技術を駆使しながらも、目指すは日常生活に馴染む、ゆったりと美しいテーラリングウエアだった。
Fabric:JAPANESE SUPER100’S WOOL 2/80 (AW24)
Col:Brown / White Stripe
Size:3
Fabric:ENGLISH SYMPHONY / BATEMAN OGDEN
Col:Charcoal / White Stripe
Size:2 , 3
「デザインする上でもっとも重要なのは時間」
図らずも、完成までに一年かかったという「Deep Pleat」ことDP TROUSERSは、RPLの”組下的”な立ち位置。というのも、ブレザーとトラウザーの組み合わせは自由というのが本人の意向で、「普段のスタイルに合わせて好きなように着てほしい」というのが彼女の想い。
通常のパンツ2本分の生地を要するDPにはアイコニックな深いプリーツが配されており、その深さは何と8cmにもおよぶ。立ち姿だけでなく、たとえば歩いている時、はたまた椅子に腰をかけた際の足もとの美しさまで考慮したという、彼女の哲学が存分に詰め込まれた逸品。
当然、角度によって見えるシルエットやドレープが異なるものだから、ついうっかり鏡の前で立ち止まってしまうし、週3~4回の頻度で穿こうが決して飽きることはない。我ながら穿き過ぎだと反省してるが 改善するつもりはなく、最近は開き直って声高らかに「My Best Trousers」と謳っている始末。
Fabric:ENGLISH SYMPHONY / BATEMAN OGDEN
Col:Light Grey / White&Yellow Stripe
Size:1 , 2
Fabric:ENGLISH SYMPHONY / BATEMAN OGDEN
Col:Dark Navy / White Stripe
Size:1 , 2
DP TROUSERSから派生したイージー仕様の「Drawstring Deep Pleat」トラウザーは、とくに湿度の高い日本の春夏時期にオススメしたい一本。ウエストはゴムなしのドローストリング仕様、平置き約100cmとたっぷり取られたウエストをギュッと絞って穿くことがコンセプトの、彼女にしては珍しいリラックスパンツ。
「深いプリーツを活かすためにも敢えて大きめに穿いてもらいたい」
着用時のシルエットやボリューム感はDPトラウザーのワンサイズUPといった感覚。例えばDPをサイズ2で穿いている私がDDPを近しいボリューム感で穿くならサイズ1になる。が、ここは本人の意向に従ってサイズ2を試すことにして、文字通り「身体と衣服の間に空間を設けて」この春夏を楽しみたいと思います。
※左足側部についたカーゴポケットは実際に機能するが飾りポケットという認識
Fabric:ENGLISH SYMPHONY / BATEMAN OGDEN
Col:Dark Navy / White Stripe
Size:3
Fabric:ENGLISH SYMPHONY / BATEMAN OGDEN
Col:Light Grey / White&Yellow Stripe
Size:3
DDPの組上として、春夏に向けたセットアップの提案。
胸ポケットが極太な両玉縁仕様になっていることから「D.W. (Double Welt)」と名付けられたベストは、そのチャーミングな見た目とは裏腹に、内ポケットを二つ備える収納力を誇る。本人がブレザーやトラウザーのポケットをあまり使用しないことから珍しくもある仕様だが、「あくまでもアウターとして着用して欲しい」という意向が要素として込められている。
ブレザーの仕立てと同じく肩は身体に沿うようラインが引かれ、そのままウエストラインはボリュームを持たせて広く設定しているためDPやDDPといったトラウザーとの互換性は然ることながら、ブレザーの上から文字通りアウターとして羽織ることも可能。または、オーソドックスにブレザーのインナーに差したとき、それぞれの裾が腰回りで重なり合うことで動きの中で妙な違和感を与えてくれ、これが意外と病みつきになる。
個人的には深めのネックラインが気に入っており、この秋冬は発色の良いセーターとひたすら合わせまくった。暖かくもなれば胸元をあけて着たい。着る。
Fabric:ENGLISH SYMPHONY / BATEMAN OGDEN
Col:Light Grey / White&Yellow Stripe
Size:2 , 3
印象的には、これ以上「抜け感」という言葉が相応しいシャツを見た記憶がない。
ひそかに注目を集めている彼女のシャツのラインナップには「S.C. SHIRT (Sandwich Collar)」と「CL SHIRT (Collar Less)」という二枚看板があり、両者ともに身頃のパターンは同じだが襟ぐりの仕様が異なる。今回は春夏ということで、より軽快な印象を与える後者のカラーレスシャツを提案。
たっぷりとしたボリューム感に深めのアームホール、カフスレスでコンバーチブルボタン仕様という、全体的にリラックス感が際立つ一枚で、とくに横~後から見たシルエットが秀逸。ボリュームのある身頃に対して低めに設定されたヨークにサイドプリーツ、絶妙な落ち加減のショルダーライン。これらのバランスがお見事で、彼女が大切にしている「身体と衣服の間」を生み出し、美しいドレープを表現している。
Designer:Lea Boberg|2024年10月 MTO Eventにて
台襟の高さ(前4cm弱)を利用して彼女のように折り返して着崩すのも良いし、袖口をロールアップをしてラフに着ることが本人のお気に入りです。
ブレザーとトラウザーの合わせのように、着方もそれぞれというメッセージが込められた、余白を感じるシャツ。
今季ご用意した3生地は、すべて英国の老舗オーダースーツ生地メーカーである「BATEMAN / OGDEN」(べイトマン・オグデン) の数多あるスワッチの中から当店用にと、本人が提案してくれた純英国製のファブリック。彼女がインラインで使用する生地も素晴らしいのは当然ですが、どうせなら生地まで英国製に拘りたくなってしまうのが我々の性分。Made in England 縛りの生地別注。
Huddersfield や Fox Brothers などが軒を連ねるヨークシャーにて1881年に創業したべイトマン・オグデン。「SYMPHONY」(シンフォニー) という、Super 100’s メリノウールを使用したスーツ地を展開しているレーベルの中から、目付290gmsというのを疑いたくなるくらい軽やかな3種を春夏に向けて。中肉よりやや薄手な通年向けのテクスチャーです。
Charcoal / White Stripe
Dark Navy / White Stripe
Light Grey / White&Yellow Stripe
いかにも英国らしいピッチのチャコールとネイビーに、イエローストライプが入る遊びの効いたライトグレー。
それぞれ生地からインスピレーションを受け、型を選定。
Fabric:JAPANESE SUPER100’S WOOL 2/80 (AW24)
Col:Brown / White Stripe
Size:3
Fabric:JAPANESE WOOL / SILK (AW24)
Col:Camel
Size:3
ブラウントーンのカラーパレットも良い。
べイトマンに通ずるウェイトで通年向けです。
DESIGNER INTERVIEW【LEA BOBERG】
今もなお Casely Hayford でデザイナーを務めながらも自身のブランドに取り組んでいるLea Boberg / リア ボバーグ。パンデミック下でひっそりとブランドをスタートさせてから約5年の歳月が経とうとしているなか、いよいよ英国や日本以外の海外からも注目を集める存在へとなってきました。デザインをする上で何よりも時間が重要だと語っているだけに、これからも自分のペースで頑張って欲しいものです。
今後の展望がますます楽しみなデザイナーのひとりですので、いま一度ご周知を。
MAIDENS SHOP 田中
Photo by me



2025/03/05
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