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NEW YEAR RELEASE 2023 ③
【OLIVER CHURCH】

MENS |

 

密かに期待を寄せているOLIVER CHURCH / オリバーチャーチ。
ファッション業界のビジネスモデルに疑問を呈しパーソナルなアプローチで活動を続ける新進気鋭のデザイナーのひとりだ。

すべてのアイテムはオリバー自らの手で裁断・縫製・染色、そして仕上げられる。
製作に入る前のデザインはもちろんパターンだってオリバーのしごと。
さらには時間を要することから業者に委託することが多いボタンホールひとつとてオリバーによる手しごと。強度を保つためフランス製のシルク糸を使用し、また付属する釦のほとんどがヴィンテージ貝釦のデッドストックというこだわり様。

それ故すべての作品に手作業だけでも最低4時間は費やすようで、1ヶ月に20着、年間で約200着程しか生産できないらしい。

かたや染色へのこだわりも並大抵ではなく。天然染料のみを使用とは言わずもがなだが「水が無駄にならないよう」染色にミニマムを設けている。
刺繍だって得意だ。主にコットンを、時たまシルクを撚り合わせた糸を使用して手刺繍。スケールにもよるが丸1日から2日以上かかる作品も過去に在ったそうだ。

スローメイドといえば聞こえはいいが、彼はデザイナーであり職人なのである。
彼のモットーはひとつひとつの製品にゆっくりと丁寧に対話をするよう時間をかけ、使われることなく眠っていた素材に新たな価値を見出すこと。

そんなオリバーの生まれ故郷はニュージーランドのワイタケレ。国内で5番目の人口を有する都市ながらも市内に手付かずの原生林がある自然豊かな環境だ。
時を経て欧州への移住を決意すると、まずは英国へ。ロンドンにて5年間ほどデザイナーとして活動した。
その後はパリへと渡り、皆さんご存知の某ブランドに参画。憶測だが、ここでの経験がデザイナーとしてのオリバーを成熟させたということは想像に難しくない。(来週末パリで彼に会うのでその辺の話も聞いてきます)

そして世の中がパンデミックと化した2020年にひっそりと自身の名を冠したプロジェクトをスタートさせた。

故郷のニュージーランドではなく経由地のロンドンでもない、フランスはパリを拠点とした理由はオリバーが好む繊維、とりわけコットンやリネン産業が盛んなためであり、はたまた50-120年前の古い生地や釦などの収集が捗るためでもある。
ひとつ共感したセンテンスをご紹介したい。

「When I mention antique it means the fabric is at least 100 years old.」

アンティークの定義は100年を経過したものということは周知の事実だが、それを証明する根拠はどこにもない。
いろいろと端折らせてもらうが、最終的には売り手(買い手)の信用がものを言う。
わざわざ言葉にして発するほど、オリバーには生地に対する知見があり、情熱があり、プライドがある。
オリバーがアンティークといえば、それは紛うことなきアンティークである。

SOFT SHIRT / 108,900yen (tax-in)
Fabric:Antique , Vintage French Cotton/linen
Size:L , XL

このようにしてありとあらゆる要素にこだわりを尽くしてしまったオリバー。それは時間もかかるわけだ。
今回のメインにと、オーダーさせてもらった”SOFT SHIRT”も彼が収集したアンティークKelsch / ケルシュがキッカケとなった。ケルシュとは麻産業が盛んなフランスはアルザス地方の伝統的な織物で、素朴でありながらコシのある綿麻のテキスタイルは古くから地元民に愛されてきた。アンティークともなれば手織りの生地であることは言うまでもない。

Col:Blue Checks/Plaid Patch Work

なかでも目を惹いたのはやはりインディゴチェック。ご覧の通りで同じものは二つと無いONE-OF-A-KIND。
とくにパッチワーク具合がアートしている一枚をイメージ撮影に使用。こちらはXL。
L・XLとサイズ展開を設け、計4枚ご用意しておりますので詳しくは店頭で。もしくはオンラインストアへの掲載をお待ちください。

Col:Red Checks/Plaid Patch Work

Col:Red Checks/Plaid Patch Work

赤チェックも素晴らしい。規則的に星の刺繍が入る一枚に、同系色トーン違いでクレイジーさが際立つ一枚。
アメリカなイメージに強いカラーリングだけど、面白いことにそんな印象は皆無だった。

そしてインディゴに負けず劣らず良かったという嬉しい誤算。今のところ彼の審美眼に間違いはない。

Col:Red Checks/Plaid Patch Work “Over Dyed”

もとは赤×白に黄色のペンが走る鮮やかな発色の生地だったが、あろうことか大胆にオーバーダイ。
染色の際は色の変化のみならず、生地や縫い目が縮んでゆく過程を観察することが楽しみだと語るオリバー。

そしてようやく全貌が明らかになった”SOFT SHIRT”はカラーレスでざっくりとしたBOXシルエット、すなわちカーディガンのように羽織ることもできるシャツ。春から秋口にかけての主役から脇役までこなすユーティリティな一枚です。
ご覧の通りネックが低いのでインナーを考慮する必要があるけど、そのひと手間こそファッションの醍醐味。

SOFT SHIRT / 99,000yen (tax-in)
Fabric:Vintage French Cotton/linen
Size:L , XL

分かりづらいけど、なかに着た”SOFT SHIRT”
ケルシュとは異なりこちらは推定50-70年前のヴィンテージ。フランスメイドのコットンリネン。
当然のことながら素材本来の風合いが際立つナチュラルカラーの醍醐味。色のトーンが揃ったパッチワークも良いものです。

OVER SHIRT “HAND EMBROIDERY” / 136,400yen (tax-in)
Fabric:Vintage French Cotton
Size:L

「刺繍は私にとって娯楽であり、スケッチのようなものです。」

そう語るオリバーにとって刺繍とは自身のしごとに向き合う時間であり、何も考える必要のない時間でもあるらしい。
冒頭で「得意」と記載したが正確には「好き」なのかもしれない。
視認できるだけでも十数色の糸を使用した手刺繍による花のグラフィックに一体いくら時間をかけたのだろう。
お世辞にも再現度が高いとは言えないかもしれないが芸術点は◎ 愛嬌でしかない。

そんなピースフルな花の刺繍を胸ポケットに添えた銘品は、型が変わり”OVER SHIRT”という名のシャツジャケット。
ゆったりとしたサイズに定評があるSOFT SHIRTの上からでも余裕を持って羽織れる文字通りオーバーシャツなわけだが、オリバー基準の”OVER”はたまた”BIG”はファッションし過ぎていないのがまた良い。

生地はヴィンテージのフレンチコットン。ロケのためオリバーonオリバーと相成ったが素材の違いによるグラデーションがまた良かったり。早くも春の到来を感じる。

手刺繍は経年劣化に強い側面がありますから、慎重にならずにガシガシ着て、洗濯を繰り返しましょう。(刺繍が施された環境による & オリバーはきっと問題ない)

OVER SHIRT “OVER DYED” / 108,900yen (tax-in)
Fabric:Vintage French Cotton/Linen
Size:L

Anthracite / アントラシートと呼ばれるフランスの伝統色をオーバーダイで表現した2種目の”OVER SHIRT”
紫にもグレーにも見える曖昧な色合いだが、ことの真偽は黒の染料を使用しているそうだ。で、目指したアントラシートとは赤みがかったダークグレー。一枚単位で丹念に染色を行うオリバーが染めの具合を調整しつつベストな状態へと仕上げた。時間の経過とともに濃灰色へと変化することが期待されるとのこと。

ヴィンテージのフランス製コットンリネン(1950’s)をオーバーダイしているからこそのシワ感、ザラつき、色ムラ。
とても新品の服とは思えぬ雰囲気を放ちつつもヴィンテージウエアにはない現代的なシルエットを併せ持ったハイブリッドな一枚なのかもしれない。

OVER SHIRT / 108,900yen (tax-in)
Fabric:Handwoven Linen Indigo Check
Size:L

3種目にして最後の”OVER SHIRT”は唯一にして無二のヴィンテージではない生地を使用している。手織りのインディゴリネンだ。インディゴリネンと聞けば良いイメージしか湧かないし、Handwovenであることが担保となり今後のエイジングに期待が膨らむ。何よりも春先に着たい衝動に駆られる一枚。
Monad Londonのダニエルもそうだが、古生地がすべてではないことを証明してくれる。

3 POCKET JACKET / 176,000yen (tax-in)
Fabric:Antique , Vintage French Cotton/Linen
Size:XL

ラストピースは2種のストライプ柄を紡ぎ合わせるという大胆な発想のもと生まれたスペシャルなジャケットで。

ヴィンテージの複製に半ば飽き飽きしていたオリバーがはじめて手掛けたワークジャケットは、意外にも伝統的な3ポケスタイル。オーセンティックはオーセンティックなままでいいという結論。
そこからは自身のフィールド(アンティーク・ハンドメイド)で、足りないものを補完する作業。
当人曰くヴィンテージのモールスキンワークジャケットをベースに、シルエットから襟ぐりに至るまでを意識的に編集したそうで。そして何よりも気が利いたポケットの形状、大きさはリアルクロージングとしてポイントが高い。

出自の違う2種の生地を使用しているから、洗濯後の縮み(パッカリング)とか、楽しみである。

それにしても言葉が不要に思えるほど圧倒的だった今回のOLIVER CHURCH。
やはり彼の今後の活躍には期待せざるを得ない。

最後に、オリバーから素敵なメッセージを。

「This piece comes with a swatch of fabric that be used for the continued repair and upkeep of the garment.」

本質。

MAIDENS SHOP 田中

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2023/01/11

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