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Interview “ANDERSEN-ANDERSEN”
MENS | #andersenandersen#interview
デンマークコペンハーゲン発のニットウェアブランド【ANDERSEN-ANDERSEN】のブランド創立10周年を記念して、デザイナーのCathrine Lundgren-Andersenさんが来日されました。
来日中のCathrineさんにインタビューする機会を頂けましたので、お話を伺ってきました。
ブランドスタートのきっかけから今後の展望まで、とても丁寧に語ってくれましたので、是非ご一読下さい。
【ANDERSEN ANDERSEN (アンデルセンアンデルセン)】
「伝統的なデンマークのニット文化を継承していきたい」という思いから2009年にスタート。
デンマークで昔から着られている船員や漁師、ハンターのニットウェアのデザインにインスピレーションを受けて作られており、裏表どちらでも着られるニットは忙しい船員達が裏表を気にすることなく、着られるように作られたデザインを取り入れています。
海洋国デンマークの歴史と伝統、慣習を後世に継承する、最高品質のセーターを作り続けています。
牧野:ブランド10周年おめでとうございます。
Cathrine:ありがとうございます。ここまで続けることが出来て素直に嬉しいです。
牧野:この10年を振り返っていかがでしょうか?
Cathrine:すごく長い旅でした。ブランドを始めるにあたり、最初はどのようなセーターを作ることが出来るかとても不安でした。しかし、旅を続けていく中で多くの出会いがあり、たくさんの人の協力を得て、最高のセーターを作ることが出来ました。セーターを介して人とのつながりも増え、いまや世界中の人に喜んで着てもらえている。これは私たちが大切にしていることで、この10年で得られたもっとも重要なピースです。
牧野:ここ日本にも本当にたくさんのファンが居ます。今回の来日の目的は?
Cathrine:ここまでやってこれたのも、日本のチームのサポートがあってのことですから。10周年という節目を一緒に祝福したく、来日しました。
牧野:ありがとうございます。まずはキャサリンさんの経歴から教えてください。
Cathrine:私はデンマークの洋服学校でファッションのキャリアをスタートさせました。立体裁断やテーラーなど、デザインにまつわる基礎をこの場で学びました。
公私ともにパートナーであるピーターは、もともとグラフィックデザイナーとして活躍していて、ANDERSEN-ANDERSENのロゴ等を制作してもらいました。ここで言う当時のデザイナーたちは、ひとつの枠には留まらず、様々なプロタクトデザインに携わっていたので、彼の方が様々なキャリアを積んでいます。
そんな二人が交わることで、ファッションブランドとしてスタートしたわけですが、お互いにトレンドを追うようなファッションにはまったく興味が向かない。
唐突ですが、自分がもし子どもに戻れるのなら、建築家になりたかったと強く思います(笑)
私たちからすれば、ANDERSEN-ANDERSENというフィルターを通してファッションを創っているつもりはなく、洋服で建築を表現している。このセーラーセーターは建築なのです。
牧野:ブランドスタートのきっかけは何ですか?
Cathrine:二人で始めたことがもっとも重要です。ランプを作っても良かったし、インテリアを作っても良かった。ただ、デンマークを象徴するセーラーセーターという存在を無下には出来ませんでした。
デンマークの建築はデザイン性が高く、機能的です。それをファッションとしてではなく、機能として洋服に落とし込むこと出来ないかと考え始めたことがキッカケで、このセーラーセーターが誕生しました。
世の中にはワークやミリタリーを彷彿させる洋服やブランドで溢れていますが、結局形を真似るだけだったり、要素を持ってきているだけだったり。そういった意味では、私たちはワークウエアとしての本質を追及してセーターをデザインしています。決してファッションの為に作っているわけではありません。
牧野:商品をデザインする上で心掛けていることはありますか?建築というフレーズをよく耳にしますが、デンマーク家具や建築の影響は?
Cathrine:デザインという観点では、デンマークの家具や建築とも通じる部分があります。
点で物事を考えず、デザインのすべてのパートが兼ね備わってひとつのデザインとして成立する。すると、完成度が高くなりますね。
私たちも、糸の紡績から始め、生地にどれほど耐久性があるのか、綺麗に見えるシルエットとは、ディテールが機能的かを見極め、ようやく製作に入ります。
ファッションとしてではなく、プロダクトデザインという観点でこの形を作ってきました。
牧野:なるほど。ところでブランド発足の要因ともなったヴィンテージのセーラーセーターは、海洋大国デンマークの市場にありふれたモノなのですか?
Cathrine:デンマークは海洋大国なので、セーラーセーターに希少性もなにもありません。私たちのライフスタイルとも言うべきウエアです。
国民の皆が船を所有していますし、日常的にヨットにも乗ります。
育ってきた環境の中で、父親からセーラーセーターを譲り受けたり、買ってもらったりすることは珍しいことではありません。
そういった意味で、各家庭で保管されていることが大概ですので、市場にはあまり出回りませんね。ヴィンテージと言えば、尚更です。
牧野:2~3年前の日本ではブームとなり多くの人々がANDERSEN-ANDERSENのニットを追い求めました。現在は一時のブームも落ち着き、本質的なニットを探している人へと供給されている印象ですが、それについてはどう感じますか?
Cathrine:その当時は、日本において私達のニットはファッションという枠で捉えられていたように感じます。もちろん喜ばしいことだけど、私たちのブランドの本質ではありません。
私たちとしては、モノの価値をしっかりと認識してもらい、そこに賛同してくれる人たちの手元に商品を届けたい。
そうすることで、もう1着、違う型だったり色を購入してもらえるだけの自信はあります。
ブランドをハイスピードで広げていきたいとは一切思っていなくて、ゆっくり成長していければと良いと思っています。インテリアやクラフトマンなモノの価値を理解した人たちに、より行き渡らせたいと考えています。
牧野:洋服以外のモノを作る予定はありますか?やはり気になるのは、家具とかですかね。
Cathrine:ブランドの核となるものをいま改めて考えていて、「ニット」というものに本質を置いて、その枠から出ないように活動していこうと、チームで話をしていたところです。
洋服で言えばシャツやパンツ等には手を出さず、もちろん洋服以外にも何かを作ろうという予定はない。それはすなわち、「ニット」の可能性を突き詰めて、より良い物を提供していく姿勢の表れです。
ちなみに、デンマークには海洋学校なる学び場があります。実は、毎年学生たちにユニフォームとしてセーターを提供しています。2~3か月かけて学生たちが他国へと航海するという、いかにも母国らしい教育です。来年はオリンピックが開催されるという事で学生たちは真夏にデンマークから東京へと航海の旅に出るので、夏仕様として薄いセーターかTシャツの制作を試みているところです。
コレクションとしてはTシャツを作るつもりはないですが、今後はひとつのプロジェクトとして、テキスタイルデザイナーやアーティストとのコラボレーションや、インテリアの素材として生地を提供したりと、多岐に渡り活動の域を広げていきたいと考えています。
牧野:新色や新型をデザインする時のイマジネーションはなんですか?
Cathrine:海洋関係にまつわる色、伝統的なセーラーセーターのデザインを意識的に選んでいます。
来年は新型も用意していますし、新色としてイエローを出します。このイエローのカラーはこの本にも載っているようにFINN JUHLの家に飾られている彼の奥さんの肖像画をイメージソースとしています。
牧野:今後のブランドの展望は?
Cathrine:持続的に素晴らしい商品を人々に提供していくことを第一に考えたいです。急にビジネスを大きくする事は望んでいません。
牧野:それでは最後の質問です。キャサリンさんにとってニットとは?
Cathrine:ニットというものは、デンマークそのものです。
デンマークの歴史に根深いバイキングも、その昔ニットを編んでいたという逸話があるほどです。
そういった意味では、ニットとはデンマークの歴史と形容しても差し支えない文化であるし、私たちの生活を支えている機能でもあります。
文化と機能。それは私たちにとっての「ニット」を表しています。
牧野:今日はありがとうございました。
Cathrine:こちらこそ。ありがとう。
ファッションとしてではなく、本質的なモノ作りを徹底しているキャサリンさん。
優しさの中に彼女の強い拘りを感じられたインタビューでした。
次回のブログでは店頭に入荷しております商品の紹介をさせて頂きます。
お楽しみに。
MAIDENS SHOP 牧野
2019/11/23
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