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ABOUT “BEAUGAN” vol.2
少々間が空いてしまいました。新規で取り扱いを始めた”BEAUGAN”について。本日は詳細を。
ブランドのことは前回のBLOGで触れているので、下記よりお確かめください。
いいモノに出会ったとき。そこに言葉の媒介は必要ないっていうのが持論なんですけど、ちょっと背景が凄いことになっているので必要以上に書きます。そして前回のBLOGを閲覧いただいた方は泥染めないんかい!って思うかもですが、ご紹介前にSOLDでして。でも大丈夫。泥染めは起点であって、相も変わらず堪らないモノ作りをしています。
上の画像向かって左のジャケットより順次ご紹介していきましょう。1点1点がスペシャル。プライスはお手数ですが店舗までお問い合わせください。
“AGRICULTURE STUDENT’S JACKET”
COL:DUSK PINK
SIZE:2
“ジャパニーズヴィンテージ”と、我々も聞き馴染みのないフレーズをしばしば耳にするBEAUGANの展示会。
このスチューデントジャケットは読んで字の如くだった。「1940年代の日本の農業高校の制服より型をとった」らしい。
世界的に評価を集める”BORO”(いわゆる日本の古い着物や野良着)だとか軍モノのオマージュであればスッと理解できるけど、高校の制服から着想を得たとは天晴です。そもそも現存するのかと。
機能的な内外ポケットや後身頃の左側につくキーループタブなど型を忠実に再現したそうだが、もちろん知る由もない。調べても出てこない。でもこういうのって自己満ですから。いいじゃないですか。
デザインネタはもちろんだけどBEAUGANを語る上で大事なのは生地。
どことなく滑らかな肌触り、やり過ぎてない塩梅の光沢感。今治産のコットンベルベットでした。なるほど納得。
そして秋冬に向けた提案なので嬉しいキュプラの総裏仕様。
“AGRICULTURE STUDENT’S JACKET”
COL:DUSK PINK
SIZE:3
大量生産とは真逆の生産方法を採るBEAUGAN。伴って卸先も限られた店舗のみとなる訳ですが、とりわけヨーロッパのファッション業界から支持を得ているようで。そのうちのひとつであるスペインのアンティークショップに置かれた、ひと際 存在感を放つヴィンテージのベルベットソファの「日焼けによる自然なエイジング」に強く感銘を受けたクリスは、それを再現すべく手染めに取り組む。
まずはアトリエにてベースとなる下染めを行い”ベージュ”に染色。その上から草木染めのコチニールで”ピンク”色に重ね染め。草木染めの日光堅牢度に弱い性質を利用し、着古するごとにベージュと混ざり合うようなサーモンピンク
サイズ2の個体が分かりやすく日焼けによるエイジングを進めたモノ。敢えてそのようにオーダーしました。サイズ3の個体は例えるならリジットデニムってところ。
ご覧の通りで自然な日焼け、水洗いによる色落ちには期待大ですが、「コチニールは特に日光に弱いので、長く色を楽しまれたい場合、
なお、ご購入いただいた方には黒のスーツカバーを差し上げておりますので、その点はご安心ください。
ちなみにコチニールとはカイガラムシの一種でして、主にメキシコなどの南米地区で採取されるオウギサボテンらに寄生するアブラムシみたいなやつら。1800年代後半、メキシコ南部のオアハカ州にて発見される。
体内に蓄積されている色素化合物を抽出 (すり潰) して色素とし、真っ赤には染まらず赤が退色したような淡い色味に染め上がるのがコチニールの特徴。白シャツに赤ワインをこぼしたようなアレ。
古くより染料として使用されていて、個人的に馴染み深いものといえばナバホラグ。古いものだとコチニールってなだけで数万~数十万も価値が上がる。コレクターの領域展開だな。
“AGRICULTURE STUDENT’S JACKET”
COL:BEIGE+FUKUKI YELLOW
SIZE:2 / 3
もう1色。当店別注でイエローをご用意しました。
泥染めと並んで奄美大島に根付く草木染めの一種である “福木染め”
今でこそ自生しているが、本来は防風林や防潮林の目的で日本に持ち込まれた歴史がある。オリジンはフィリピン。
温暖な気候であることが条件で、国内では奄美大島や沖縄本土含む周辺の諸島に分布。奄美ではフクギのトンネルなるものが観光地と化して人気を博しているらしい。
で、染料はフクギの樹皮や割いた木片などを煮詰めて抽出。
Dust Pinkと同様にベージュで下染めをし、あとからイエローに重ね染めていますが、どうやら福木イエローはコチニールとは異なり堅牢度が高いのでフェードしにくいそうです。Dust Pinkのようにサイズ間で色ムラはそれほどございません。が、あくまでも比較論。
今作とは関係ないのだけれど、福木染めは媒染によって様々な色合いに仕上がるそうで。オレンジとか。ブラウンとか。非常に興味深い。
プロダクトに魅了されまくりでスタイリングとは?って話でした。
Dust PinkにしろFukuki Yellowにしろ派手に思う方もいらっしゃることでしょう。
とりあえず羽織ってみてください。着てしまえばってやつです。百聞は一見に如かず。
洗練されたモノとは対極の自然な粗さのあるアイテムにはデニムを合わせたくなってしまうのが私の性分。絶対に合います◎
“TYPE M65 FIELD JACKET”
COL:CREAM×BEIGE KHAKI
SIZE:2 / 3
こちらは分かりやすく米軍のM65フィールドジャケットをモディファイしたモデル。ただ、何かが違う。
「従来の着古していくたびに色褪せていく概念とは逆の法則を狙った。」とはコンセプト。
BEAUGANが独自で開発したコットンポリエステルの生地は、経年変化とともに金色の糸が現れてくるよう組織が作られておりまして。
展示会に並べられたサンプルはプレーンの状態でしたので金の表情とやらはまったく想像がつかなく、後日エイジングサンプルを手配してもらったところ、これが抜群でして。加工の程度はクリスに委ねてオーダーした次第です。なので最初から金のアタリが出てる。ペイントだとかそれっぽく見えるけど、そんな野暮なことはしないよBEAUGANは。
てっきり生地の元ネタはイギリス軍のSASかと思ってましたが、スイス軍のヴィンテージから着想を得たそうで。もったいないけどその個体をしっかりと分解、研究を積み重ねたとのこと。
緻密に2色の糸を交織しているのでコットンベースとは言え滑らかな風合いが特徴のオリジナルテキスタイル。生地をもサンプリングしてしまうBEAUGANのクリエーションは圧巻のひと言。
そして拘りは留まることを知らず、ボディ裏地とポケット力布にはミリタリーグレードのテキスタイルを採用しています。それぞれ、コットンリネンのリップストップ、肌触りがシルキーなコットンレーヨン。
なんならボタンに関しても経年とともに削れていくことで金が出てくる始末。
錫製ボタンにコールドのメッキ、その上からボディと馴染みのいいマットな色で仕上げ。デザインはもちろんM65のオリジナルを忠実に再現。ブランド刻印入り。
そしてボタンと言えば襟元のスナップボタンも然り、高級本金メッキ製という抜かりのなさ。
これらのゴールドにTALONジップの相性ったら、もう。(比翼のフロントジッパーと立ち襟のジッパーに米軍用TALON製ジップを採用。なお、フードは付属しません。あくまでもM65を踏襲したディテールデザインです。)
ディテールと言えばエポレットやアクションプリーツ、袖口にはあまり知られていない手の甲部保護用の三角ストラップ。要所にM65の機能的デザインを詰め込んだスタイル。でも亜種なんですよ。ここまでミリタリージャケットからミリタリー感を削ぎ落したジャケットは存在しないでしょう。羽織ると品がよく見える不思議。
ちなみにライナー着脱可能な仕様ですが、肝心なライナーは別売りという。ただしライナーはオーダーしておりません。しっかり高価なんですもん。すいません。
それと2サイズご用意しておりますが、もちろん加工によるアタリの出方はアソートです。ここからまだまだ育つようなので、細かいことはあまり気にしなくていいでしょう。
“K2 EIDERDOWN JACKET”
COL:MOUNTAIN GREEN
SIZE:3
最後です。大物。BEAUGANらしく、まさかのリネンシェルのダウンジャケット。
もちろんオリジナルファブリック。リネンにシリコンコーティングを施し、弱点だった耐水性を備えたウォータープルーフ構造という耳を疑いたくなるような生地。素材表記を確認するまではコットンだと思ってました。
ボディの裏地もまたリネンで。こちらにはシワ起毛加工が施されているので表情があります。見えないのだけれど。だけれどかなり良い。
袖裏はキュプラスリーブ。だから袖を通すたびに満足感が襲ってくる。袖通しが滑らかで羽織ると羽毛布団に包まれるような感覚で。(フィリングは日本製のエシカルグースダウン98%DOWN:2% スモールフェザー)
まだまだスペシャルな構造が続きます。
ハンドウォーマーポケットにはなんとキャメルのパイル地ライニングが。パイル地と言えば天下の今治製。コットン×キャメルでそれこそ高級路線の今治タオルのような肌触り。用事がなくともポケットに手を突っ込みたくなる。(M65のライナーはこの生地。そりゃ高いわな。)
そして袖口はウール100%のリブ。カラーリングのセンスが間違いない。これらの気の利いた采配が相まって手袋要らずの予感。
こちらでもミリタリーグレードのTALONジップを採用。そして奈良で1点1点ハンドメイドにて生産されたオリジナルのナットボタンもいい味。オーク材と見紛う奥行きと光沢感があり、もちろん個体差なんてのは醍醐味でしょう。
ウエスト、裾、フードのドローコードは温度調節のために機能するので、寒いときにグッと締めてあげて。
さて、敢えて最初に触れなかったデザインネタのお話を。
K2 EIDERDOWN JACKETの”K2″とは、karakoram No.2 = カラコラム山脈の最高峰とされる山で、エベレストに次ぐ世界第2位の高さを誇る名峰を指す。
登頂の難しさではエベレストを凌駕し世界でも最高難度のようで、1950年代までは前人未到の山だったらしい。そこで1953年にカラコラム山脈の初登頂を目指したアメリカ人登山隊に向けて開発されたのが、ダウンジャケットの生みの親・Eddie Bauer / エディバウアーの”KARAKORAM”である。K2登頂挑戦は登山の歴史で最も輝かしい出来事の一つとして賞賛され、KARAKORAMの誕生がEddie Bauerの存在を世界に知らしめたと言っても過言ではない。ちなみに”生みの親”とは、1936年にダウンジャケットを初めて”商品化”させたメーカーがEddie Bauerがであり、実はそれ以前にダウンジャケットはアメリカに存在していた。それが”EIDERDOWN / アイダーダウン”、世界最高のアルピニストの1人と評される登山家ジョージ・イングル・フィンチによって開発されていた。
卓越した素材使いに意識が向いてしまうが、K2 EIDERDOWN JACKETはダウンジャケットの歴史にコミットした逸品ということです。とりわけデザインに於いては50年代のKARAKORAMを大まかにサンプリング。このダウンジャケットで登山は自殺行為ですけど。タウンユースにはオーバースペック過ぎないし適度にファッションしてるので、デイリーなダウンをお探しの方にはかなりオススメです。私ですか?もう喉まで手が届いておりますよ。生地・サイズ・背景の3拍子が見事に揃ってしまった。今年の冬は寒い説。見事に当たってしまったことですし。
最後までお付き合いいただき、ありがとうございます。すっかり長くなってしまいました。
オーストラリア人のデザイナー、拠点は日本。我々以上に日本が誇る (言い方アレだけど) 歴史の産物を駆使するクリス。ルーツがよく分かりませんが、本人もこう言ってます。「どこかに属する必要はない。匿名であっていい。」と、砕いたらですけど。分かるな〜。
さて、年内は12月27日(日)まで営業しておりますので、是非お試しにいらしてください。
年の瀬に大物いっちゃいましょう。
お問い合わせは下記よりお気軽にどうぞ。
☎:03-5410-6686
✉:shop@maiden.jp
MAIDENS SHOP 田中
2020/12/20
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