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【TENDER CO.】- BASTE POCKET JACKET –

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この愛くるしいゾウのブランドタグを初めて見たのはもう10年程前のことでしょうか。前職の会社が自由が丘に構えていた、今はなき小さなお店の店頭でした。屋根裏のような二階の売り場にあったのは確かシャツだったようなぼんやりとした記憶があります。そんなぼんやりとした記憶の中でも印象的だったのがその生地の風合い。古着でもないのにえらく着込んだような、そして何より洋服にこんな生地を使うのかと当時びっくりしたのを覚えています。その時のTENDERの洋服も意匠をこらした渋い生地だったように、この度ご紹介のBASTE POCKET JACKETも生地や染色に拘ったTENDERらしさあふれる洋服となっております。

【TENDER CO.】
EVISジーンズのヨーロッパライン、ユーロ エビスジーンズ(EURO EVISU)にてデザイナーを務めた後、イギリスのサヴィル・ロウでテーラーリングの技術、更には岡山県児島でデニムの生産についても学んだという異色の経歴をもつWilliam Krol氏によるイギリス発ブランド。現在はセントラル・セントマーチンにてデニムについての講師も務めている。パターンはデザイナーのWilliam自身が引き、縫製はイギリス、染色はフランスとイギリスにて。

BASTE POCKET JACKET (LOOMSTATE COTTON VELVET) / 77,000 yen (in-tax)
Col:RINSE WASHED
Size:5

まずは生地について。LOOMSTATE COTTON VELEVTと名付けられた起毛感のある生地は、イギリスの織機で織られた綿のベルベットで、両面布として織られた後、織機から外す前にナイフを横切らせてカットをし、パイル状に形成。表面は柔らかい肌触りですが生地自体はゴワゴワとした不思議な質感です。

BASTE POCKET JACKET (LOOMSTATE COTTON VELVET) / 80,300 yen (in-tax)
Col:INDIAN BLACK DYED
Size:5

– INDIAN BLACK DIE –
1世紀半ば頃に編み出された、焼いた象牙(エレファントチノン)とイカ(セピア)から着想を得られた黒い染料。その後より簡単に入手できるよう、砕いた木炭にて代用をされるようになります。と、ここまでの説明で焼いた象牙は何となく想像できますが、イカ??となる方も多いかと思います。というのも、色の名前としてよく耳にするセピアとは、ギリシャ語で足頭類のイカを意味するとの事。イカの内臓で分泌される所謂墨を乾燥させ、セピア顔料として古代に使用していた事に由来するらしいです。

BASTE POCKET JACKET (LOOMSTATE COTTON VELVET) / 80,300 yen (in-tax)
Col:RED OCHRE DYED
Size:5

– RED OCHRE DYE –
レッドオカ―とは、南アフリカ・ケープタウン郊外のブロンボス洞窟の壁に、約7500年前に描かれたとされる人類最古の絵に使用されていた赤い黄土色の染料。18世紀のイギリスでは漁船を海水から守る為にも使用されていました。タール、オーク樹脂等にこのオカ―を混ぜて帆船の帆に塗っていたとの事。

マニアックな染色もさることながら、その染め上がりの表情も独特です。前身に大きくとられたポケット付近のダイナミックな生地の縮みっぷりによる不規則な深いシワはさながらエレファントレザーのよう。これらは全て製品染めによって染色をされていますが、それも生地が縮む際の表情を楽しんでいただく為。

少し季節が進みすぎてしまいましたが、風を通さない程に目の詰まった肉厚なコットン生地の為、軽いアウターとしても重宝するジャケットかと思います。もちろん今の時期はアウターの下に忍ばせても◎
言い方が良くないかもしれませんが、同質化された洋服が市場に沢山ある現代、デザインだけでなくこういった製法からオリジナリティを確立できるブランドは強いと思います。よそは真似ようとも簡単には真似できません。

画像では生地の風合い等を全てお伝えしきれませんですし、この度は着用画像もご用意がありませんので、是非とも店頭にて実際にご覧いただければと思います。
皆さまのご来店をスタッフ一同、心よりお待ちしております。

MAIDENS SHOP 山田

2021/12/16

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